不動産を共同相続した場合のリスク:「共有名義」のデメリットと解消法

介護関連

はじめに

親から実家や土地を相続した際、複数の相続人(兄弟姉妹など)が法定相続分に従って不動産を**「共有名義」とすることは、遺産分割協議で合意が得やすいことから一般的に選ばれがちな方法です。しかし、この共有状態こそが、将来的に不動産の管理、活用、そして処分**において、複雑かつ深刻なトラブルの温床となります。

共有名義の状態は、特に世代をまたいで共有者が増える(数次相続)と、その後の合意形成が不可能となり、**「塩漬け資産」**となってしまうリスクを抱えます。

本記事では、「不動産 共有名義 デメリット」を具体的な事例とともに解説し、共有状態を解消するための「共有物分割請求 手続き」などの法的な解決策、そして「共同相続 不動産 処分」を円滑に進めるための対策を紹介します。

「不動産 共有名義 デメリット」の核心:権利の制限

不動産を共有名義にすることは、各共有者がその不動産全体に対して**持分(もちぶん)**という権利を持つ状態です。しかし、この共有状態によって、個人の権利が制限され、行動を起こす際に必ず他の共有者の同意が必要となる点が最大のデメリットとなります。

単独で「処分(売却・担保設定)」ができない

不動産の売却や大規模な利用変更といった**「変更行為」**を行うには、共有者全員の同意が必須となります(民法第251条)。

売却の塩漬け化:たとえ他の共有者9割が売却に賛成していても、一人でも反対すれば、その不動産全体を売却することは不可能です。これにより、不動産は活用も売却もできず、固定資産税や維持費だけがかかり続ける**「塩漬け資産」**となってしまいます。

担保設定の困難:自宅を担保に事業資金や介護費用を借りる際(リバースモーゲージなど)、他の共有者全員の同意と協力が必要です。一人でも反対したり、連絡が取れなかったりすると、資金調達の道が閉ざされます。

単独で「管理(賃貸・修繕)」も困難になる

不動産を賃貸に出す、あるいは建物の大規模な修繕を行うといった**「管理行為」**を行うには、共有者の持分の過半数の同意が必要です(民法第252条)。

修繕費用の問題:老朽化した実家を修繕する必要が生じた際、費用負担を巡って意見が対立することがあります。「自分はもう住まないから費用は出したくない」と反対する共有者が持分の過半数を超えていれば、修繕を進めることができません

賃貸収入の問題:不動産を賃貸に出すことができても、賃料収入の分配や、賃貸契約の条件設定を巡って、常に共有者間で合意を取り続けなければなりません。

数次相続による共有者の増加と複雑化

共有名義の最大のリスクは、世代が下るにつれて問題が深刻化する点です。

共有持分の分割:共有者のうち誰か一人が亡くなると、その人の持分は、さらに次の世代(亡くなった共有者の配偶者や子)に細かく分割して相続されます。

権利関係の複雑化:数十年経つと、共有者が数十人に増え、連絡先も意向も不明な「行方不明の共有者」が多数発生します。こうなると、全員の同意が必要な売却は事実上不可能となります。

共有名義を解消するための法的手段

共有状態が続くことのデメリットが大きい場合、話し合いや法的な手続きを通じて共有状態を解消し、不動産を単独所有に戻す、または金銭に換える必要があります。

合意による解消(話し合い)

共有者全員の合意が得られれば、最もスムーズに解消できます。

1.換価分割:不動産を第三者に売却し、その売却代金を共有者全員で持分に応じて分配する方法。感情的なしこりが残りにくく、最も一般的に行われる解決策です。

2.代償分割:特定の共有者(例:長男)が、他の共有者の持分を買い取り、単独所有者となる方法。不動産を残したい意向がある場合に有効です。

3.現物分割:土地など、物理的に分筆できる不動産を、それぞれの持分割合に応じて現物で分ける方法(ただし、マンションなどの建物には適用できません)。

「共有物分割請求 手続き」:裁判所を通じた解決

話し合い(合意による解消)で合意が得られない場合、共有者は裁判所に共有物分割請求訴訟を提起できます。

仕組み:共有者の一人から訴訟を起こされた場合、他の共有者は話し合いに応じざるを得なくなります。裁判所は、共有関係を解消するために、以下の方法を順に検討します。

1.現物分割:物理的に分割可能か。

2.代償分割:特定の共有者に単独所有させ、他の共有者には金銭を支払わせる。

3.競売(強制売却):上記の方法が困難な場合、裁判所は不動産の競売を命じ、その売却代金を共有者で分けることを最終的な解決策とします。

訴訟のリスク:競売は、市場価格よりも安価で売却される可能性が高いため、共有者全員が金銭的な損害を被るリスクがあります。このリスクがあるからこそ、話し合いの場で合意を目指す動機づけとなります。

 

共有名義のトラブルを未然に防ぐ対策

遺言書による単独相続の指定(最優先の対策)

生前の意思表示:親が事前に**「特定の相続人(例:介護を担った子)に自宅を全て相続させる」という内容の遺言書**を作成しておくことが、共有状態を回避する最も確実な方法です。

遺留分への配慮:ただし、遺言書を作成する際は、他の相続人に最低限保障された相続分である留分(いりゅうぶん)を侵害しないよう配慮が必要です。遺留分を侵害した場合は、侵害された相続人から遺留分侵害額請求を受けるリスクがあります。

相続人全員による「換価分割」の決定

遺産分割協議での決定:相続人全員が、相続と同時に不動産を売却し、金銭で受け取る(換価分割)ことを遺産分割協議で合意します。

メリット:共有名義の登記をせずに売却手続きを進めることができるため、売却の合意形成が最も容易であり、共有化リスクを完全に回避できる最もスマートな解決策の一つです。

生前贈与による持分の整理

贈与の活用:親が元気なうちに、不動産を売却したり、特定の相続人に生前贈与したりして、単独名義化してしまうことも有効です。

税制優遇:贈与を行う際は、**贈与税の基礎控除(年間110万円)**や、夫婦間での居住用不動産の贈与(おしどり贈与)などの税制優遇を最大限活用し、税負担を抑える対策が必要です。

共有名義の特有な問題:固定資産税と維持管理費

共有名義の場合、不動産の管理費用や税金の支払いにも特有のデメリットがあります。

固定資産税の全額支払い義務

連帯納税義務:共有名義の不動産にかかる固定資産税は、共有者全員が連帯して納める義務(連帯納税義務)を負います。

代表者への通知:納税通知書は、共有者の中から選ばれた代表者(通常は筆頭の共有者)に一括して送付されます。

滞納リスク:他の共有者が自分の持分に見合う税金を支払わなかった場合でも、代表者を含む他の共有者全員がその全額を肩代わりする義務があります。これにより、共有者間の金銭トラブルに発展しやすくなります。

維持管理費の個別請求の困難

修繕費用や維持管理費(火災保険料など)についても、共有者間での精算が必要になりますが、これもトラブルの元となります。

個別の同意:費用の支払いについては、その都度、他の共有者に請求し、合意を取り付ける必要があり、手続きが煩雑です。

費用の持ち逃げリスク:費用を請求しても「自分は使っていない」「お金がない」と支払いを拒否され、回収が困難になるリスクがあります

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:共有状態は「時限爆弾」

不動産の共有名義は、相続が発生した時点では平等な分割に見えても、その後の管理や処分において**「時限爆弾」となり得ます。共有状態が長引けば長引くほど、共有者の人数が増え「共有物分割請求 手続き」**による競売リスクが高まり、結果的に全員が損をすることになります。

不動産を**「負動産」**に変えないためにも、

親の遺言書による単独相続の指定を促す。

遺言書がない場合は、**相続時にすぐに売却(換価分割)**を決める。

どうしても共有になった場合は、早期に**専門家(弁護士、司法書士)**に相談し、持分を整理することが重要です。

不動産の処分をめぐるトラブルは、家族間の関係を決定的に壊してしまう可能性があります。専門家の知恵を借りて、早急に解決することが、家族と資産を守る最善の道です。

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