認知症で「財産凍結」回避!親の資産を安全に守る法的な3つの方法

介護関連

 

はじめに

親御様の介護費用や生活費を工面しようとしたとき、突然銀行や証券会社から「親御様の意思確認ができないため、口座を凍結します」と告げられることがあります。これは、認知症によって本人の意思能力が失われると、財産が犯罪などに利用されるのを防ぐために行われる、やむを得ない措置です。

この**「認知症 財産凍結」**のリスクは、親の入院費や介護施設の費用支払いをストップさせ、家族を窮地に追い込みます。

本記事では、このリスクを回避し、親の資産を安全に守り、必要なときに活用するための法的な3つの対策(成年後見制度、任意後見制度、家族信託)を比較し、それぞれの費用と手続きを分かりやすく解説します。

なぜ起こる?認知症による「財産凍結」のリスク

対策を講じる前に、なぜ銀行口座が凍結され、何ができなくなるのかを明確に理解しましょう

(1)銀行・証券会社の対応の原則

金融機関は、預金者本人の意思が確認できない状態(認知症など)で預金の引き出しや解約が行われると、不正な引き出しや悪用のリスクがあると判断します。これは、金融機関が預金者を守るための義務であり、たとえ家族であっても、名義人本人以外の取引は原則として停止されます。

・凍結によってできなくなることの具体例

・介護施設への月額費用の引き落とし口座の変更や解約
・親名義の定期預金の解約や、まとまった入院費の引き出し
・親名義の不動産の売却や賃貸契約
・相続税対策のための生前贈与の手続き

 

(2)凍結を解除する唯一の方法

一度口座が凍結されると、金融機関が凍結を解除し、代理人による取引を認める唯一の方法は、家庭裁判所が選任した**「成年後見人」**が存在することです。つまり、認知症発症後に財産管理が必要になれば、必ず裁判所の手続きを経る必要があるのです。

 

対策【1】成年後見制度:発症後でも利用できる公的制度

すでに認知症が進行し、判断能力が不十分になってしまった後に利用できる、最も一般的な制度です。家庭裁判所に申し立てを行い、**本人の財産管理や身上監護(生活・介護・医療に関する契約)**を行う後見人を選任してもらいます。

 

メリットとデメリット(成年後見制度 費用)

項目 詳細
メリット 発症後でも利用可能であり、すでに認知症が進行している場合に必須となる。家庭裁判所が後見人を監督するため、財産が守られる安心感がある。後見人には、本人に代わって医療・介護の契約を行う身上監護権限がある。
デメリット 手続きが複雑で時間がかかる。後見人は原則、辞められない。後見人が選任されると、本人の財産は後見人の判断で管理され、家族が自由に使うことはできなくなる。後見人(親族以外)への報酬が発生し続ける

費用の実態とランニングコスト

成年後見制度の大きな特徴は、継続的なランニングコストが発生することです。

・初期費用:申立て費用(収入印紙代、郵便切手代など)で数万円。
・ランニングコスト:選任された後見人(特に弁護士や司法書士などの専門職)への**月額報酬(月額2万〜6万円程度)**が発生します。この報酬は、本人の財産から支払われ、本人が亡くなるまで続きます。

対策【2】任意後見制度:発症前に「誰に頼むか」を決めておく

親御様が判断能力があるうちに、将来、認知症などで判断能力が不十分になった場合に備えて、**信頼できる人物(任意後見人)**をあらかじめ選んでおく制度です。

メリットとデメリット

項目 詳細
メリット 本人が元気なうちに、信頼できる人物を自由に選べる。財産管理の範囲など、契約内容を自由に決められる。本人の意思を最大限尊重した財産管理が期待できる。
デメリット 公正証書による契約が必要であり、費用がかかる。制度の効力発生には、認知症発症後に家庭裁判所へ**「任意後見監督人」の選任申立て**が必要。任意後見監督人への報酬が発生する。

 

費用の実態とランニングコスト

・初期費用:契約時の公正証書作成費用が発生します(数万円)。
・ランニングコスト:認知症発症後に制度がスタートすると、任意後見人を監督する任意後見監督人への**月額報酬(月額1万〜3万円程度)**が発生します。監督人は、後見人が適切に業務を行っているかをチェックする役割を担います。

対策【3】家族信託:家族に資産管理の権限を「託す」(家族信託 介護)

財産の「所有権」は親に残したまま、「管理・運用する権限」を家族に託す(信託する)手法です。裁判所を介さずに、家族内で柔軟に資産を管理したい場合に有効な手法として注目されています。

 

メリットとデメリット

項目 詳細
メリット 最も柔軟性が高い。家族間で契約を結び、財産の使い道や次世代への承継まで細かく決められる。裁判所の関与が少ないため、手続きが迅速に進む。親が認知症になった後も、受託者(財産を管理する家族)がすぐに財産を動かせる。
デメリット 法的な知識が必要なため、専門家(司法書士など)への費用が比較的高額になりやすい。信託契約を結んでいない預金口座は凍結リスクが残る。身上監護(医療・介護の契約)はできないため、別途任意後見制度の検討が必要。

 

費用の実態と初期費用

・初期費用:契約内容の設計、契約書の作成、公正証書作成、不動産がある場合の登記費用など、専門家への報酬(司法書士や弁護士)が中心となります。初期費用として数十万円~100万円以上かかる場合がありますが、月々のランニングコストはかかりません。

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結論:我が家に最適な対策はどれか?比較と推奨タイミング

3つの制度の特徴をまとめると、以下のようになります。

対策 特徴 費用(ランニングコスト) 推奨されるタイミング
成年後見制度 裁判所主導。財産保全が目的。 月額報酬が発生。 認知症がすでに進行している場合
任意後見制度 本人主導。信頼できる人を選任。 監督人への月額報酬が発生。 判断能力があるうちの将来の備え
家族信託 家族主導。柔軟な資産管理・承継が可能。 ほぼゼロ(初期費用が高額)。 親が元気なうちに、不動産など特定の資産の承継も視野に入れたい場合

 

最終アドバイス

認知症の症状が進む前に、任意後見制度家族信託を検討することが、手続きの柔軟性、費用面から見て最も合理的です。特に不動産などがある場合は、家族信託が有効な手段となり得ます。親御様の判断能力があるうちに、これらの専門的な知識を持つ司法書士や弁護士に相談し、最適な対策を講じることが、家族の安心と資産防衛につながります。

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